五臓の腎①
12月間近ですが、つい数週間前まで夏日だったと思うとまだ年末だという自覚が持てません。
さて、今回から五臓六腑の腎のお話です。
腎は冬に大活躍する臓である反面、寒さの影響を受けやすい臓でもあるため、その性質について知っておくことは損ではないと思いますよ。
急に気温が下がり、身体の冷えによる体調不良と見受けられる症状の方が多くなってきました。
先程も出ましたが、腎は冬に活躍します。
その性質を見てきましょう!
●腎の性質(前半)
・堅固(けんこ)
冬三月 此謂閉蔵
「黄帝内経素問」四気調神大論篇第二
東洋医学では自然現象や季節の特徴が人体にも起きていると考えています。
冬は陽の性質を持つ気が体の内側に閉じこもり、身体芯が冷えないようにしています。
冬に起こるこの事象の性質を、五行論の五化(成長化収蔵)の「蔵」と言い、腎もこの力を持っています。
腎は五行では水の性質を持っていて、水にはものを硬く押し硬めて安定させる堅固という性質があります。
腎がしっかりと働くことで、冬の寒さに負けないように身体の芯を温めてくれ、快適に冬を過ごすことができるのです。
・精と志
腎蔵精 精舍志
「黄帝内経霊枢」本神篇第八
腎は先天の精と言われる生命の根源を溜め込んでいます。
またその先天の精には、五行論の五神の一つである志が舎っています。
志とは、継続する力のことです。
目標を達成するために集中して物事に取り組むことができるのは、志がしっかりとしているからなのです。
小さな子どもが、すぐに飽きてしまって一つのことに集中できないのは、この志が関わっています。
幼児は、生理的にまだ腎が成長しきっていないため、たとえ楽しい遊びでも集中できず空きてしまうのです。
腎が成長している大人でっても、生まれつき腎が弱りやすい体質の方は、何かに取り組んでいても集中力が続かず、最後まで取り組むことが難しくなることが比較的多くなります。
・作強(さきょう)の官
腎者 作強之官 伎巧出焉
「黄帝内経素問」霊蘭秘典論篇第八
↑の漢文は「腎は作強の官、技巧これより出づ」と書き下します。
作強とは力強い様で、技巧とは手先が器用な様のことを意味しています。
ここでの力強いとは筋力があるという訳ではなく、骨が強く骨格がしっかりしていて、精神面も安定している状態のことです。
東洋医学での腎は骨と非常に関わりが深いのです。
腎の仕事の一つに骨髄を作り出すというものがあります。
骨髄は骨を作る材料と考えていて、腎がしっかりとしていれば骨髄もしっかりと作られ骨も丈夫になります。
また精がしっかりと溜め込まれていれば精神面もしっかりと安定し、肉体と精神が揃って安定し物事を手際よくこなすことができると考えています。
さて、東洋医学の腎の性質(前半)いかがだったでしょうか?
腎がしっかり働いていると、どっしりと構え落ち着いた人になるようですね。
次回は腎の性質(後半)をお送りするよ予定です。
読んでいただければ幸いです。
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