今一度、消毒を

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新年明けてからもインフルエンザと新型コロナは増えているみたいですね。
以前にインフルエンザの話をしたのですが、少し細かく感染症予防の話をしてみたいと思います。

参考リンク
インフルエンザに負けないために

新型コロナウィルスも以前に比べるとあまり耳にしなくなりましたが、まだまだ終息の気配はありません。
耳にしなくなったのは、世界的に共存の流れにあり、日本もその方向にシフトしたため、政府も統計は取っていても大きくは発表しなくなりましたからね💧

流行当初予防として消毒の徹底が言われていましたが、あまり厳格には国民に伝わっていなかった印象がとても強いです。
本来手指の消毒は、正確に行わなければ除去率が著しく下がります。
よく街中や店頭で消毒液を噴霧して手の消毒をされている方を見かけますが、あれにどれほどの除去効果があるのかはあまり考えたくもありません💧

そこで今一度、ご自身や大切な人のために少しでも消毒の正しい方法や効果を知っていただけたらと思った次第です。


今回は感染症予防と言っても、主に接触感染の予防としての消毒についてです。

  • 接触感染:感染している人の唾や鼻みずが手から手へ、あるいはドアノブやつり革などを介して手に付着することなどによる感染。

接触感染の予防には手指の消毒が簡単で効果的です。
しかし、方法を間違えると予防効果が格段に下がってしまいます
今回は石鹸での手洗いと店頭などでよく見かけるアルコール消毒についてお話ししたいと思います。


●石鹸での手洗い

今回は薬用でない普通の石鹸での内容ですが、薬用石鹸等の抗菌石鹸であれば更に効果的です。
恐らく最も簡易で効果の高い方法だと思います。
外科手術においても、手洗いは最も重要な消毒方法とされています。

石鹸での手洗いの洗浄力は界面活性によるもので、垢・汚れ・ゆるく付着した一過性細菌を取り除くことができます。
その除去効果ですが、普通の石鹸と水で30秒手洗いをすると1.8~2.8log10減少させられるという報告があります
※1log10=90%、2log10=99%、3log10=99.9%、4log10=99.99%
つまり石鹸と水だけでちゃんと洗いさえすれば、それだけで99%前後の除去効果があるということです。

また洗い流すという点で、芽胞を形成する菌や一部の消毒液に対して耐性を持つウィルスなどにも効果があります。
※芽胞:一部の菌が形成する耐久性の高い外壁のような働きをする細胞構造。殺菌するには乾燥状態では180℃で20分程度、湿熱状態では高温高圧釜での121℃で15~20分の加熱が必要。

石鹸の手洗いって侮れないんですよ。
石鹸での正しい洗い方はしたの画像の通りです。

厚労省の手洗いポスター
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●アルコール消毒

新型コロナの一件以降街中でよく見かけるようになったアルコール消毒ですが、アルコール消毒について詳しい知識を持っている人は医療従事者にも少ないのです。
一般的に使用されるアルコール消毒にはイソプロパノール、エタノールというアルコールが使用されています。
これらを単一もしくは複数を混合させたものが一般的となっています。
その効果は菌やウィルスのタンパク質を変性させる力によるものと言われていますで、水がないと変性しないため65~95%のアルコール溶液が最も有効されています。
ただし含まれるアルコールの種類によって最適な濃度が違うため注意が必要です。

  • イソプロパノールの最適濃度:50~70%
  • エタノーの最適濃度:70~83%

一時期エタノールが手に入りずらかった時期には、政府から60%代のエタノールでも一定の効果が得られると報道されましたが、あくまで一部微生物に対してのみ有効ということなので、基本的には最適濃度のものが望ましいです。

あとアルコール消毒で最も重要なのが「1回使用量」と「刷り込み時間」です。
これに関しては、知らない方が圧倒的に多いと思います。
この2つを守らないと、殺菌効果は著しく低下し、場合によってはアルコールで皮膚にダメージを与えるだけの行為になってしまいます。

1回使用量については、実は製品毎に違います
アルコールの種類ではなく製品毎です。
そのため各製品に記載されている要項を確認する必要があります。
刷り込み時間については、WHOが発行するガイドラインでは20~30秒となっていますが、これもある程度製品によって違いがあります。

新型コロナウィルス感染症が出始めてから一応国内各社が様々な製品の1回使用量や刷り込み時間を調査しているようなのですが、液状のアルコール消毒で1回につき「3mL以上」および「15秒以上」の刷り込み時間とまとめている会社が多いです。
あくまでこれは最低ラインですが。
小さじ一杯が5mlなので3ml以上って意外と多いと思いませんか?

ちなみに刷り込み方もWHOが推奨するものがあり、これが世界的に医療機関では一般的です。

参考
WHO手指衛生ガイドライン日本語版
WHO推奨アルコール製剤による手指消毒法
who_handwash {.inner_img}
WHO推奨手洗い法
who_alcholedisinfection {.inner_img}



意外と知らなかったという方が多いのではないでしょうか?
私自身新型コロナウィルス感染症が流行し始めたころ、以前の職場で社員向けの衛生管理の研修を行うことがあり、厚労省、WHO、CDC(米国疾病管理予防センター)の資料をかなり読みました。
そのおかげで知ることができたこともたくさんありました。
今一度、ご自身や大切な人を守るために、今一度消毒の正しい方法や効果を考えてみてください。



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