月の動きと身体の関係
東洋医学では、古来から月の満ち欠けと人体に起きる現象に関連があると考えてきました。
例えば女性に毎月訪れる月経もその一つです。
名前も「月経」と「月」を「経(へ)る」と書きますよね。
他にも月の影響を受けることはたくさんあるのです!
月が影響を与えるだろうと考えられているものの一つに『睡眠』があります。
少し話が逸れますが、某有名ゲームのポ◯モンが睡眠の分野に参入しています。
そのゲーム内で次の満月の日に初めてイベントが開催されるようなのですが、『満月の夜は睡眠が浅くなるのでしっかり眠ってほしい』という意味での開催らしいです。
私は日本睡眠学会の人間なので、「『睡眠』と聞いたらやらないわけにはいかないと」毎日ちまちまやっています。
では「満月の夜は睡眠が浅くなる」というのはどういうことなのでしょうか?
実はこれは東洋医学の教科書とも呼べる『黄帝内経(こうていだいけい)』からも読み取れるのです!
※色々言いたい方もいるかも知れませんが、今回は東洋医学の本だと言うことで話を進めます(汗)
黄帝内経は、現在は『素問(そもん)』と『霊枢(れいすう)』の2種類の書籍郡で構成され、素問には基礎理論的な内容が、霊枢には臨床的な内容が記載されています。
黄帝内経の中で月と人体の関係が記述されている箇所はいくつかあるのですが、素問の八正神明論第二十六と霊枢の歳露論第七十九の2つは比較的有名です。
それぞれ月と身体の関係に関する記述のところを抜粋してみます。
古代中国語(と日本語訳)なので読んでみたい方だけどうぞ(汗)
素問 八正神明論第二十六
**クリックで読む**
原文
月始生、則血氣始精、衛氣始行。
月郭満、則血氣實、肌肉堅。
月郭空、則肌肉減、経絡虚、衛氣去、形獨居。
現代語訳
月が姿を現し始めると(新月から満月になるまでの期間)、気血は清らかになって、衛気も盛んにめぐり始めます。
月の輪郭が満ちて満月になると、気血は充実して、肌肉も引き締まります。
月の輪郭がなくなり新月になると、肌肉は弱り、経絡は虚して、衛気も衰え、見た目はそのままですが中身が空虚となってしまいます。
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霊枢 歳露論第七十九
**クリックで読む**
原文
少師曰、人與天地相参也、與日月相應也。
故月満則海水西盛、人血氣積、肌肉充、皮膚緻、毛髪堅、腠理郄、煙垢著、當是之時、雖遇賊風、其入浅不深。
至其月郭空、則海水東盛、人氣血虚、其衛氣去、形独居、肌肉減、皮膚縦、毛髪残、腠理薄、煙垢落、當是之時、遇賊風、則其入深、其病人也卒暴。
現代語訳
少師が言う、人と自然界には密接な関係があり、それらは共に日月とも相応しています。
そのため月が満ちれば、人の気血は充実して、肌肉は充実し、皮膚は緻密になり、毛髪は強固になり、腠理閉じ、皮脂も多くなるため、このときに賊風(身体に害のあるもの・外邪)に当てられたとしても、身体の深くにまで影響は与えません。
月が欠けてくると、人の気血は空虚となり、衛気は弱まり、見た目は変わらずとも、肌肉が痩せ、皮膚は弛緩し、毛髪は弱り、腠理は開き、皮脂も乾いてしまうため、このときに賊風に当たってしまうと、即座に身体の深くまで侵入され、病の侵攻も急激です。
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両方を簡単に要約すると
満月のときは、気血の動きが盛んになり、外邪からしっかりと身体を守ってくれる。
逆に新月のときは、気血の動きが緩慢となり、身体全体の機能が落ちてしまいます。
しかし見た目自体は変わらないのでパッと見では分からない状態です。
もちろん外邪の影響は受けやすくなっています。
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これが「睡眠」とどう繋がるかというと・・・
東洋医学では、人が眠りから目を覚ますと気血が「陽の部分」つまり体の外側に当たる手足や頭で盛んに働きます。だから手足を動かしたり、ものを考えたりできます。
逆に眠るときは、気血が外側の手足や頭から「陰の部分」である内側の五臓六腑に入ってきて、外側の働きを休止させるからと考えています。
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そのため、満月のときは気血が活発に「陽の部分」に出ようとする力が強く、「陰の部分」に留めておくことが難しくなってしまうことがあります。
そういったときは、眠ったとしても気血が「陽の部分」に飛び出して行って目が覚めてしまう、つまり眠りが浅くなるということです。
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この気血を「陰の部分」に引き入れる働きは、五臓六腑の中でも主に『肝』が行っています。
なので肝の働きを底上げすることで、しっかり眠れるようにするのはいかがでしょうか!
肝の働きを上げてくれるツボは太衝が有名です。
太衝:足の甲で、足の親指の骨と人差指の骨の間をつま先から足首側に向かって擦っていったときに、足の指の骨が合わさる場所
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お灸でもいいですし、押すのもOKです。
押す場合は、親指側か人差し指側のどちらかの骨に向かって押してみて、より痛みの強い方に押します。
科学的には、月の動きと人体の関係性はあまり良く分かっていません。
ですが月の満ち欠けは海の潮にも影響を与えるほど大きな力を持っています。
そして人体は60~70%が水です。
月の影響を受けてもおかしくはないと思います。
他にも人体は自然界の影響を強く受けています。
それに負けないように身体のメンテナンスをしていきましょう。
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